衰弱した状態で発見されたマレーグマ ローズの救助
オランウータンだけでなく、マレーグマも生息地の変化や人間との接触によって、さまざまな問題に直面しています。
食料資源や生息地が減少し続けるなか、マレーグマは食べ物を求めて人間の居住地の近くまで入り込まざるを得なくなっています。
今回ご紹介する若い雌のマレーグマ ローズも、まさにそのような状況に置かれていました。ローズは人の家の敷地に入り込み、ひどく衰弱した状態で発見されました。
BOS財団のチームがローズを救助するまでの経緯をご紹介します。
ローズがサンボジャ・レスタリに到着するまで
ローズの救助が始まったのは、クタイ国立公園の保護区域に隣接する、東クタイ県テルック・パンダン郡のスカ・ラフマット村でした。ローズは推定1〜2歳の雌のマレーグマです。
ローズは住民の庭に入り込み、衰弱して池から出られなくなっていたところを発見されました。
その後、村の住民がローズを確保し、クタイ国立公園の野生動物救助隊(WRU)に通報しました。
2026年8月29日、東カリマンタン自然資源保全局(BKSDA)の野生動物救助隊がローズをテンガロン第II地域管理事務所へ搬送し、初期治療と集中管理を行いました。
しかし、2日経ってもローズの状態は改善せず、さらなる治療のために、サンボジャ・レスタリにあるBOS財団のリハビリテーションセンターへ移送されることになりました。
ローズは、BKSDAテンガロン第II地域管理事務所のウィトノ氏とリヴァイ氏と共に、サンボジャ・レスタリへ移送されました。ローズは現地時間の17時頃に到着し、すぐに動物クリニックへ運ばれました。
獣医たちが輸送用ケージに近づくと、ローズはもがいたり声を上げたりして、自身を守ろうとしました。初期処置を終えた後、ケージ同士の扉をつなぎ、ローズをクリニック内のより大きなケージへ移しました。
当時のローズはひどく衰弱しており、輸送用ケージから這い出るのがやっとで、しっかりと立つこともできない状態でした。新しいケージに移ってからも、ローズはほとんどの時間を横になって過ごしており、集中的な管理が必要な状態でした。
その後、医療スタッフが経口補水液とドラゴンフルーツ、マンゴーを与えると、ローズは経口補水液を問題なく飲み、果物もすぐに食べました。
初期治療として、獣医師のムフタディン・ワヒュがビタミン剤や栄養補助剤を投与しました。その後、ローズはサンボジャ・レスタリの動物クリニック内にある専用のケア室へ移され、全身状態が24時間体制で注意深く観察されました。
救助される野生動物は、なぜ衰弱しているのでしょうか?
救助される野生動物が、必ずしも健康な状態で見つかるとは限りません。なかには、衰弱や痩せ細った状態、脱水など、さまざまな健康上の問題を抱えて運ばれてくることもあります。
こうした状態には、もともとの生息地で十分な食料を得られなくなり、必要な栄養を確保するために行動範囲を広げなければならないことが影響している場合があり、新しい環境への適応がストレスとなり、けがをするリスクが高まることもあります。
そのため、人間の居住地の近くで野生動物が発見された場合は、必要な治療を判断するために、速やかに健康状態を確認することが重要です。ローズもひどく衰弱していたため、救助後も集中的な管理とケアが必要でした。
回復への第一歩
ローズの事例は、野生動物と人間の接触が、生息環境の様々な問題を浮き彫りにしていることを物語っています。生息地の減少や食料不足などの環境の変化によって、野生動物が人間の生活圏に入り込み、危険にさらされてしまうのです。
こうした状況では、地域住民の対応が非常に重要です。今回、スカ・ラフマット村の住民がローズの存在を当局に通報したことで、救助隊は適切な対応を取ることができました。
ローズの回復への道のりは、まだ始まったばかりです。BOS財団のチームは、集中的な健康管理やローズの状態に合わせた治療を続けながら、ローズが完全に回復できるよう最善を尽くしています。
投稿日:2026年10月21日
執筆:BOS財団本部 コミュニケーションチーム(西ジャワ州ボゴール)
編集・翻訳:Borneo Orangutan Survival Japan(BOSジャパン)




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