森林火災に取り残された子供のオランウータンを救出
森林や土地で起こる火災は、森やその周辺で暮らすオランウータンをはじめ、多くの野生動物に大きな影響を与えます。
森が燃え、辺りが濃い煙に包まれると、動物たちは安全に身を隠せる場所や食べ物を失い、炎や熱によって傷つく危険にもさらされます。
オランウータンにとって、森林火災は命にかかわる大きな脅威です。火から逃げようにも、辺りは煙で真っ白。木から木へと移動しながら逃げるしかなく、その間も煙を吸い続けることになります。
人間でも息をするのが苦しくなるような状況の中で、オランウータンたちは必死に逃げなければなりません。そんな状況に置かれていたのが、後にノヴィタ(Novita)と名付けられた子供のオランウータンでした。
2026年9月25日、ノヴィタは数日前から火災が続いていた場所で、木にしがみついているところを発見されました。
ノヴィタを救うため、天然資源保全局、BOS財団、インドネシア陸軍、そして地域の住民たちが協力して救出にあたりました。
炎と煙の中で行われたノヴィタの救出
火災が続く中での救出は、とても危険です。チームは周囲の状況を確認しながら、慎重に救出を進めました。
救出のきっかけとなったのは9月25日、村に住む住民の方からの通報でした。
通報によると、3〜4日ほど火災が続いていた地域で、アブラヤシ農園近くの木に子供のオランウータンがいるとのことでした。
ノヴィタは、おそらく母親とはぐれてしまったのでしょう。
通報を受けたBOS財団のチームはすぐに現場へ向かい、天然資源保全局と合流しました。
合同チームが現場に到着したのは、インドネシア時間の午後2時30分ごろ。ノヴィタは木の上にいて、辺りは濃い煙に包まれており、救出は慎重に進める必要がありました。
まずチームは、ノヴィタを木から降ろしたときに安全に保護できるよう、木の周りに水をまき、火を消し始めました。
その後、チームは麻酔を使ってノヴィタを保護する準備を進めました。しかし、濃い煙でスタッフの視界が悪く、ノヴィタも木の高いところで警戒していたため、麻酔を行うことができませんでした。
やがて日も暮れ始め、その日の救出は断念。保護は翌日に持ち越されました。
チームはその後も定期的に様子を確認し、ノヴィタを見守りながら待ちました。
しかし翌日、新たな問題に直面します。
風の影響で、一度消した場所から再び火が燃え上がったため、もう一度火を消してから救出を再開しました。
周囲の火が治まったところで、チームは再び麻酔を試みました。
そして午前10時30分ごろ、麻酔に成功し、木から落下したノヴィタは、チームが木の下に広げていた救助用ネットの上に無事に着地しました。
こうしてオランウータンは無事に保護され、天然資源保全局のチームによって「ノヴィタ」と名付けられました。
傷を負いながらも生き延びたノヴィタ
救出されたノヴィタには、すぐに治療が必要でした。診察すると、手足に火傷が見つかりました。
医療チームは、火災から逃げる途中で火の影響を受けた地面を移動し、そのときに火傷を負ったのではないかと考えています。その後、ノヴィタは木に逃げ込んだのでしょう。
火災の中で数日間を過ごしたノヴィタはかなり衰弱しており、獣医師とBOS財団の医療チームは、現場ですぐに緊急処置を行いました。
長時間煙を吸ったことで呼吸も苦しく、重度の脱水もみられたため、酸素投与や点滴を行い、手足の火傷にも感染を防ぐための処置を施しました。
応急処置を終えたノヴィタは、さらに詳しい検査と治療を受けるため、ニャル・メンテンにあるBOS 財団のオランウータン・リハビリテーションセンターへ搬送されました。
ノヴィタの出来事は、森林や土地の火災が、そこで暮らす野生動物たちにどれほど大きな影響を与えるのかを物語っています。
火災によって刻々と状況が変わる中、被害を受けた動物たちの命を救い、必要な治療につなげるためには、迅速な救助とチームの協力が欠かせません。
ノヴィタにとって、火災の中から救出されたことは、まだ最初の一歩です。
これから治療とリハビリを重ね、元気なオランウータンへと成長していくための日々が始まります。
投稿日:2026年10月6日
執筆:BOS財団本部 コミュニケーションチーム(西ジャワ州ボゴール)
編集・翻訳:Borneo Orangutan Survival Japan(BOSジャパン)




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