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クジェ・セウェンの森に息づく生命の痕跡

  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

東カリマンタンのクジェ・セウェンの森。そこでの定期パトロール中、私たちのモニタリングチームは、アカバネモリゲラという美しいキツツキの姿を記録しました。

この出会いは、オランウータンを支えるこの森が、普段は気づかれにくい多くの野生動物たちの故郷でもあることを、改めて私たちに教えてくれます。


アカバネモリゲラとは?

キツツキの仲間であるアカバネモリゲラは、森の風景に溶け込みながらも、ハッとするほど鮮やかな色彩を持っています。

大きさは約30〜33cmほど。体の大半は落ち着いたオリーブグリーンですが、翼にはその名の通り真紅を思わせる、レンガのような独特の赤色があります。

特にオスは頭の羽も鮮やかな赤色をしており、まっすぐ伸びた鋭い嘴(くちばし)が自慢です。この嘴で木の幹を突いてエサを探したり、子育てのための巣穴を掘ったりします。また、丈夫な足と指のおかげで、垂直な木の幹にもピタッと安定して止まることができるのです。


住んでいる場所と、森が豊かな証拠

アカバネモリゲラは、マレー半島やスマトラ島、そしてここボルネオ島など、東南アジアの熱帯雨林に広く生息しています。特に、大きな木がどっしりとそびえ立ち、豊かな緑に覆われた健やかな森が、彼らにとって欠かせない住まいとなります。

クジェ・セウェンの森でこの鳥に出会えることは、実はとても大切な意味を持っています。それは、この森の生態系が今も正常に機能している何よりの証拠だからです。

多様な植物が育つこの森の構造が、彼らが安心して羽を休めたり、子育てをしたりするための貴重な大樹を守り続けているのです。


食生活と日々の暮らし

多くのキツツキと同じように、アカバネモリゲラは主に昆虫を糧として生きています。 樹皮の下に隠れているアリやシロアリ、甲虫の幼虫などを探し出し、木の幹を突く姿がよく観察されます。また、昆虫が少ない時期には、森の果実を食べて栄養を補うなど、自然のサイクルに合わせて柔軟に生活しています。

ふだんは単独、あるいはペアで行動し、静かに集中して食糧を探します。 うっそうと茂る深い森の中で、彼らがそこにいることを教えてくれるのは、木の幹をリズミカルに叩くドラミングの音です。その確かな音は、森が命を育んでいる証でもあります。



次の世代へ、命を繋ぐ

繁殖の時期を迎えると、アカバネモリゲラは立ち枯れた木や、少し柔らかくなった古木を選んで巣穴を掘ります。この巣作りは、オスとメスが協力して行います。

卵が産まれると、両親が交代で大切に温めます。雛たちは、自分の力で空を飛び、食糧を探せるようになるまで、この安全な巣穴の中で守られながら成長していきます。

彼らが使い終えた古い巣穴は、その後、他の鳥たちや小さな動物たちの住処(シェルター)として再利用されます。ひとつの命のために作られた場所が、やがて森全体の命を支えていく。彼らは、クジェ・セウェンの森の生態系を維持するうえで、とても重要な役割を担っているのです。


森の未来を守るために

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、アカバネモリゲラは現在、直ちに絶滅の恐れがある種には分類されていません。しかし、彼らがこれからも生きていくためには、故郷である森林が健やかに保たれていることが絶対の条件です。森林の減少や劣化は、彼らの住処や食糧を奪う直接的な脅威となってしまいます。

クジェ・セウェンの森にこの鳥が存在していることは、単なる記録以上の意味を持っています。それは、この森の生態系が今も正常に、そして豊かに機能し続けているという確かな証なのです。


オランウータンや小さな哺乳類、そして数えきれないほどの鳥たち。アカバネモリゲラもまた、この複雑に絡み合った「生命の網」を支える大切な一員です。私たちは、この素晴らしい現実を未来へ繋いでいくために、皆さまと手を取り合い、共にこの森を守り続けていきたいと考えています。

 
 
 

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