世界最小のクマ 【マレーグマ】に保護が必要な理由
- BOS Japan
- 10月15日
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クマといえば、ハイイログマやホッキョクグマといった、大きく力強い生き物を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、東南アジアには世界最小のクマ、マレーグマが生息しています。
BOSFではオランウータンの保護とリハビリに加え、マレーグマの保護も行っています。
東カリマンタン州サンボジャ・レスタリ・リハビリテーションセンターには70頭以上のマレーグマがいます。
世界最小のクマ
マレーグマはクマ科の中で最も小さく、肩までの高さは約70cm、体重は最大65kgです。最大の特徴は、胸にある金色の三日月形の模様です。人間の指紋のように、マレーグマの胸の模様は個体ごとに異なります。
彼らはまた、最大25cmにも達する驚くほど長い舌を持っています。この舌を使って蜂蜜や昆虫を食べることができます。湾曲した爪と力強い手足で、マレーグマは優れた木登りを得意とし、多くの時間を高い木の上で過ごします。
体長は世界最小ですが、熱帯林の生態系におけるその役割は大きなものです。特徴的な外見と小さな体に加え、マレーグマは生息地のバランスを維持する上で重要な役割を果たしています。
種子散布の達人
マレーグマは果食性で、森の様々な果実を食べます。果実を食べると、その種子が消化器系を通過し、後に糞として排泄されます。マレーグマが歩き回る場所には、種子が残され、発芽して新しい植物へと成長します。
この自然のプロセスは森林再生を支え、生物多様性の維持に貢献しています。また、研究によると、マレーグマは森林構造の骨格を形成する大型樹種の種子散布において特に重要な役割を果たしていることが示されています。
またマレーグマは果実に加え、シロアリからハチの幼虫まで、昆虫も好んで食べます。昆虫を探すために土を掘ったり、木の幹を破壊したりすることで、害虫の個体数を抑制するだけでなく、枯れ木の分解を促進します。この活動は林床を豊かにし、他の生物のための新たな微小生息地を作り出し、生態系の自然循環を促進します。
森の隠れた建築家
蜂蜜や昆虫を求めて木を引っ掻く習性により、幹には小さな空洞が残ることがよくあります。これらの空洞は、後に鳥やコウモリなどの小動物の隠れ家や巣作りの場となります。このように、マレーグマは森の「隠れた建築家」として、無数の他の生物に恩恵をもたらす生息地を形成しています。
なぜ保護が必要なのか
生態学的に重要な存在であるにもかかわらず、マレーグマは生息地の喪失、狩猟、そして違法な野生生物取引といった深刻な脅威に直面しています。国際自然保護連合(IUCN)によると、マレーグマは現在、絶滅危惧種(VU)に分類されており、個体数は減少を続けています。マレーグマがいなければ、熱帯林はバランスと多様性を保つ上で重要な役割を果たしている生物の一つを失うことになります。
オランウータンと同様、マレーグマを保護することは、単一の種を救うということだけではなく、熱帯林全体の健全さを保ち、そこに暮らす数えきれないほどの命を守り続けることにつながります。






